ディスインフォメーション再論

ディスインフォメーション再論

このサイトでは、「ディスインフォメーション」について何度も取り上げてきた。Dishonest Abe、安倍晋三政権になって以降、「意図的で不正確な情報」を意味するディスインフォメーションが安倍本人はもちろん、官僚によっても伝播されるようになっている。

森友・加計問題、厚生労働省による裁量労働をめぐる不正資料作成事件、相次ぐ基幹統計改竄事件、身体障碍者雇用水増し事件など、すべてディスインフォメーションによって国民を騙そうとする試みということになる。

ゆえに、今回の統計法違反事件もその根本に安倍晋三が深く関連しているとみなすことができる。もちろん、今回の脱法行為はその発端はかなり以前であろうが、問題は2015年10月16日の経済財政諮問会議で、麻生太郎首相兼財務相が行った発言以降であることは一部のマスメディアが報道している。

「(調査対象の)サンプル(事業所)の入れ替え時には変動があるということも、よく指摘されている」「具体的な改善方策を早急に検討していただきたい」というのだ。これを契機に、GDPを含めたさまざまな統計が恣意的に安倍政権に有利なような修正されたと思われる。

GDPの修正については、2018年11月13日付の日本経済新聞「政府統計、信頼に揺らぎ GDPなど日銀が不信感」という記事がよく伝えている。GDPなど基幹統計の信頼性に日銀が不信を募らせ、独自に算出しようと元データの提供を迫っているという内容で、内閣府がGDP統計で「操作」をしている疑いが濃厚なのだ。

つまり、麻生の発言以降、統計を「意図的で不正確な情報」とするディスインフォメーション工作が行われるようになったと考えられる。これを政治家として主導したのが加藤勝信自民党総務会長である可能性が高い。「政治家になるために加藤六月の女婿になった」と陰口をたたかれている元財務官僚である(わたしが新聞記者をしていたころ、本人からこの話を聞いたという記者までいた)。Dishonest Abeの子飼いの一人である。2017年8月同第三次改造内閣で厚生労働大臣に就任している。

2016年8月に発足した第三次安倍第二次改造内閣で内閣府特命大臣に加えて働き方改革の担当大臣になった。GDPは内閣府の所管であり、働き方改革では2018年2月、裁量労働制の拡大という労働法制の規制緩和をねらった法改正議論で、裁量労働制のもとで働く労働者と一般労働者の労働時間の比較の厚労省作成資料に誤りがあることが明らかになったが、これに深くかかわってきたのが加藤であると推定できる。GDP疑惑にしても、加藤が関係しているとの見立てが可能である。そして、今回の「賃金構造基本統計」不正でも、その実質賃金の上昇の突出時期に大臣を務めていたのは加藤である。

厚生労働省に元文科省次官の前川喜平のような人物がいれば、すべてをぶちまけて政治家によるディスインフォメーション工作指示があったと証言することができるかもしれない。しかし、そんな気骨ある官僚がいるとは残念ながら思えない。それがいまの情けない日本の官僚なのだ。

 

政治家への糾弾

問題を解決するには、Dishonest Abeを中心とするお仲間集団の「悪」を糾弾することが不可欠だ。しかし、いまの日本の政治家にそれを期待するのは不可能だろう。自民党議員は、「悪いのは官僚」として、役人を標的にすることで、Dishonest Abeグループの「悪」を見過ごすようにマスメディアを通じたディスインフォメーション工作をすることだろう。野党には、加藤を追求するだけの能力も識見もない。2018年10月に厚労大臣になったばかりの根本匠を辞任に追い込んでも、それはまったく的外れなのだ。まあ、根本もDishonest Abeグループの一員だが、統計操作というディスインフォメーションに直接かかわってきたわけではない。

政治家の断罪が難しい現実があるからといって、ディスインフォメーションの責任を官僚だけになすりつけてはならない。政治家と官僚は「同じ穴の貉」とはいえ、日本の官僚がバカな政治家を手なずけることでなんとかこの国を「独裁」のような事態に陥らせなかったのは事実だからだ。官僚だけが「悪」なのではない。極悪非道なのは、ディスインフォメーションを自ら流し、平然と実権を握りつづけている安倍晋三にほかならない。

 

今後の展開

わたしは、日本の官僚が「悪」であるとずっと思ってきた。それは、いまでも変わらない。その証拠に、官僚はさまざまなところで、法律違反をしてきた。にもかかわらず、罪に問われることがほとんどない。「悪」そのものと言っていいだろう。

ただ、この官僚の「悪」をもってしても、政治家の「悪」に対抗できないのであれば、巨悪の座はむしろDishonest Abeグループにあると考えたほうが現実に合っている。今回の事件があっても、おそらく官僚が悪者にされるだけで、安倍晋三は首相の座に居座るつもりだろう。もうこうなれば、参議院選挙で自民党にだけは絶対に投票しないことしかないのかもしれない。

もう一つの問題は「第四の権力」たるマスメディアの役割だ。ここで書いたようなディスインフォメーション工作という問題の本質にどのマスメディアも迫れないでいる。そもそもディスインフォメーションという言葉さえ知らないマスコミ関係者が多すぎる。Dishonest Abe自身がディスインフォメーションという概念を理解しているとは思えないが、その取り巻きのなかには悪知恵の発達した加藤のような人物がいるから困ったことになっているのだ。

「21世紀龍馬」たらんとする者はよく勉強し、ものごとの本質に迫るだけの識見を研ぎすまさなければならない。悪知恵には「知」で対抗するしかないのだ。

 

追伸

ついでに、ロシアの対日外交についても付言しておこう。ウラジーミル・プーチン大統領はDishonest Abeの本性を十分に見抜いている。GDPの改竄にしても、ディスインフォメーションにしても、ロシアのほうがずっと「先輩」である以上、ロシア当局はDishonest Abeグループによるディスインフォメーション工作によく気づいている。だからこそ、不誠実で嘘をつく男、安倍晋三を基本的に信頼していないのである。こんな政治家しかいない日本にいら立ちを感じていることは間違いない。わたしもロシア人に尋ねられれば、安倍晋三と交渉しても「眉唾」と肝に銘じるべきだと話すだろう。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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