日本のウクライナ戦争報道のひどさ:NHKのバカさ加減

私は、ウクライナ戦争の戦況を毎日、検討しているわけではない。だが、節目において、ときどき戦況についても考える。

そんな私にとって、重要なのは親米報道に傾いているNYT、WP、The Economistなどの報道である。これらのメディアがウクライナ側の苦境を報じたとき、多くの場合、本当に深刻な事態に陥っているのだろうなあ、という感想をいだくことになる。

 

クルスク奇襲の大失敗

2024年10月2日付のWPを読んでいて、そんな感情が沸き起こってきたので、ここで紹介してみよう。「ウクライナ東部、ロシアの戦術改善と優れた火力に屈する」という記事がそれである。

「この夏、領土の損失は目に余るものがあった。ヴューレダールでは、ウクライナ軍は以前失敗したロシア軍の攻撃に対して大敗を喫した」とはっきりと書いている。「もっとも激しい領土の損失は8月中旬から9月中旬にかけて発生した」と指摘されている。「これは、ウクライナ軍がロシアのクルスク地域に侵攻した時期と一致している」という記述も重大な意味をもっている。

要するに、ウクライナ軍によるクルスクへの奇襲攻撃という作戦が大失敗であったのである。

記事は専門家の話として、つぎのように記している。

「ウクライナ軍兵士3万人が関与した8月のクルスクへの奇襲攻撃は、東部戦線における敵軍の陣地を切り崩す試みでもあった。この奇襲はまだ成果を上げておらず、ウクライナ軍の士気を活性化させた一方で、ドネツクでの損失の一因となった可能性があると一部のアナリストは指摘している。」

 

いい加減にしろ、日本の報道

「奇襲攻撃」を「越境攻撃」と表現する日本の主要マスメディアはすべて、平然と情報操作をしつづけている。この問題については、「現代ビジネス」に書いておいた(「「越境攻撃」と称される「ウクライナ版・真珠湾攻撃」……最後はロシアの核兵器を浴びるぞ」を参照)。あるいは、独立言論フォーラムにおける連載「知られざる地政学」(56)「ウクライナ戦争のいま:ロシア深部攻撃とロシアの核兵器使用」()においても、詳しく論じておいた。

こんな私からみると、日本の主要マスメディアは誠実さに欠けている。親米の偏向した見方に重きを置いた解説をこれ見よがしに垂れ流しているだけなのだ。

どうしてこれほどまでに不誠実な輩ばかりになってしまったのだろうか。それは、防衛研究所の研究員やテレビに出てくる、まったく低能な「似非専門家」も同じだ。

 

政治家はNHKの報道に干渉せよ!

ここでは、受信料を払わされているNHK報道のひどさについて少しだけ書いておこう。

今回、この原稿を書くために調べてみると、NHKは「ウクライナ情勢」なるサイトをもち、「【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻」という報道を定期的に掲載していることを知った。しかし、その内容は、どこから取得した情報かを明示していない不誠実極まりないものであり、親米的な偏向報道にすぎないという印象を強くいだいた。

こんな悪辣な報道する輩に、自分の受信料が使われていると思うと、何とか支払わないようにする方法を考えなければならないとさえ感じている。

民間報道に対して、政治家がガタガタ干渉するのはおかしい。しかし、公共放送なるものを行っているらしいNHKに対しては、政治家は厳しい批判をガンガン寄せるべきだ。あまりにもひどい内容である以上、少なくとも国会の場で批判するのは当たり前だ。

 

いま、『「戦前」を生きる私たち:広がる「意図的無知」』(仮題)という本用原稿を執筆している私にとって、いまのNHKはかつての大本営発表と同じ情報操作をしているようにしかみえない。

軍靴の足音が近づいている。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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