ランキングへの強い違和感:「食べログ」なんか見るな!

2021年10月28日号の『週刊文春』に大変興味深い記事が掲載されている。「食べログピンチ! 点数急落訴訟で公取が動いた」という記事がそれである。

記事を紹介しよう。

「 口コミで〝本音の評価がわかる〟とされる日本最大級のグルメサイト「食べログ」で点数の急落が起きたのは、2019年5月21日のこと。任社長が言う。

 「悪い口コミが増えたわけでもないのに急に点数が下がったのです。グーグルやホットペッパーなどの点数は下がっておらず、食べログだけでこの現象が起きた」

  新宿店は3.51点が3.16点になり、中目黒店に至っては3.51点から3.06点まで下落。最大で0.45点、平均約0.2点も下がったのだ。」

都内を中心に38店舗を展開する韓国料理チェーン「KollaBo」の運営会社・韓流村の任和彬社長によると、食べログの収入源は個人ではなく店舗であり、サイトに掲載されている店舗には、食べログと取引をしていない非会員、取引のある無料店舗会員、有料店舗会員の3種類がある。

無料店舗会員はプロフィールの編集やクーポン発行などができるだけで、有料会員になれば、検索上位への表示機能に加えて特定の時間に上位に表示することも可能という。

もうおわかりだろう。このチェーン店は有料店舗会員ではなかったが、食べログ側はこのチェーン店の点数を恣意的に引き下げてチェーン店も広告費を払わざるを得ないような状況をつくり出そうとしたのではないかと、任社長は疑ったのである。

そこで、任社長は2020年5月、点数を下げる「チェーン店ディスカウント」により損害を負ったとして、食べログの運営会社・カカクコムを提訴したのである。

 

公取が動く

話はここで終わらない。韓流村が訴訟内容に独禁法に違反するシステムの差し止め請求を加え、食べログの点数表示を止めるよう求めたのだ。さらに、元公正取引委員会事務総局審査局長・南部利之の意見書も提出した。そこに述べられている意見は、「「チェーン店ディスカウント」は、不当な差別取扱いとして、不公正な取引方法に当たり、独禁法に違反するとの原告の主張は妥当と言えます」とされているという。

この判断はまったく正しい。カカクコムの「せこい」商売のやり方はどうみても、独禁法違反にあたると考えられるだろう。

 

「食べログ」なんか見るな!

こんな食べログをありがたがって見るのはやめたほうがいい。筆者は食べログなどまったく参考にしていない。なぜなら、食べログの「インチキ」にずいぶん前から気づいていたためだ。

高知市内にとても魚をおいしく食べられる店がある。たとえば、潮出版社の編集者が高知を訪問した際、筆者は彼をその店に招待した。しかし、その店はグーグル検索してもそう簡単に表示されない。なぜなら、食べログをはじめとする胡散臭い広告サイトと関係を断っているからだ。

逆に言えば、検索サイトに表示される店のなかには、きわめて怪しげな店が多数存在する可能性があるということだ。

というわけで、何も知らないかった人は、どうか店を選ぶとき、安易な検索による選択は慎んだほうがいい。むしろ、地元の事情をよく知る人に聞いてみるというひと手間が何よりも大切だと思う。本当に真っ当な店は食べログなんかには載っていないのだ。

 

ランキングへの違和感

「論座」で公表した拙稿「世界銀行のスキャンダルがIMFに飛び火」(https://webronza.asahi.com/politics/articles/2021100800003.html)において、世界銀行が2021年9月16日、世界中の多くの国々が投資環境の改善のために利用してきた「Doing Business」(DB)レポートの廃止を決定したという話を紹介した。中国の圧力で、ランキングを引き上げるという事態が起きたのである。こんな事実は、世界銀行のような国際機関でさえ、まともなランキングが行われていないという現実を教えてくれる。

そもそもランキングには無理あり、こんなものはまったく鼻であしらう程度の話にしかすぎないのだ。

2021年10月、ブランド総合研究所なるところが毎年発表している都道府県魅力度ランキングについて、群馬県の山本一太という知事が「信頼度が低く、杜撰」と批判し、法的措置も検討するとした。筆者は世襲政治家である山本のことをまったく評価していないが、今回の怒りはもっともだと思う。ぜひ、訴訟を起こしてほしい。

もちろん、こんないい加減なランキングをいちいち報道するマスメディアの責任も大きい。バカがバカを再生産する構造がここにある。

ランキングがいい加減であることを前提に、笑いのネタ程度にするのであれば、まだ救われるが、どうやらこんなランキングを信じてしまうマヌケが多いようだ。

大切なことをしっかり、学び、こんなマニュピレーションに決して騙されないことが21世紀を生き抜くための最低限の基本だろう。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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