「100日間和平計画」の全容をめぐって:「ストラナ―」報道の紹介  ウクライナ戦争関連

「現代ビジネス」にお願いしても、すぐに公開してもらいえないので、緊急を要するニュースについて、ここで紹介する。ウクライナの「ストラナ―」が1月26日に報道した「100日間和平計画」についてである。

報道によると、その計画は、トランプ大統領とそのチームが100日以内に戦争を終結させるために作成したとされるもので、それは、アメリカ人からヨーロッパの外交官たちに手渡され、彼らからウクライナに渡ったという。「ストラナ―」は、現時点では、この「計画」の真偽を確認することはできないと書いている(大統領府のアンドリー・イェルマーク長官は、「100日間の和平計画は存在しない」と否定したと報道されている)。

ただ、「ストラナ―」の報じた内容は、今後のウクライナ戦争の終結と和平の道筋を考えるうえで興味深いので、ここに紹介しておきたい。私自身の勉強のためであるし、まったく事実を伝えようとしない日本のマスメディアを信じていないからでもある。

 

「100日間和平計画」の中身

まず、「100日間和平計画」によれば、ドナルド・トランプは1月下旬から2月上旬にかけてプーチンと電話会談を行う予定だとされている。2月上旬には、ウクライナ当局と計画を協議する予定だという。

ワシントンがモスクワやキエフとやり取りした結果に基づいて、会談は一時中断されるか(接点が見つからない場合)、継続されるか(接点が見つかった場合)のどちらかになる。後者の場合、次のようなスケジュールが想定される。

1.ゼレンスキーはプーチンとの交渉を禁止する政令を取り消さなければならない。

2.2025年2月から3月前半にかけて、トランプ、ゼレンスキー、プーチンの3者会談(3者会談または2者会談-別途決定)を開催することが提案されている。和平案の主要なパラメーターを承認し、その後、特別全権大使のレベルで合意に向けての作業を継続する。交渉が進行中で、戦闘が続いている間、トランプはウクライナへの軍事援助の送付を妨害しない(ただし、そのほかについてはすでに1月20日、自らの政治目標との整合性を評価するため、90日間すべての外国援助プログラムを停止する大統領令に署名し、これを受けて、マルコ・ルビオ国務長官は、ウクライナへの支援を含むほとんどの海外援助プログラムを90日間停止する命令を出し、米国際開発庁[USAID]ウクライナ支部は、米国国務省の指示により、すべてのプロジェクトと支出を停止するよう命じられた)。

3.すべての宗派が同じ日に祝う復活祭に合わせて、前線全体で停戦を宣言することが提案されている。同時に、すべてのウクライナ軍をクルスク地方から撤退させなければならないという条件も盛り込まれている。

4.2025年4月末、国際平和会議が開始され、アメリカ、中国、多くのヨーロッパ諸国、「グローバル・サウス」の仲介のもと、ウクライナとロシア連邦の間で戦争を終結させるための合意が確定する。

5.4月末には、「オール・フォア・オール」方式による捕虜の交換が始まる。

6.国際平和会議は、5月9日までに、合意されたパラメーターに基づいてウクライナでの戦争を終結させることを宣言する。

7.5月9日以降、ウクライナは戒厳令体制と動員を延長しないことが提案されている。戒厳令と動員令が撤廃されれば、選挙が可能になり、ウクライナは8月末に大統領選挙、10月末に議会選挙と地方選挙を実施する。

スケジュール実現のための前提となる合意内容

紹介した「100日間和平計画」のスケジュールを実現するための合意としては、つぎのような合意内容が模索されているという。

①ウクライナはNATOに加盟せず、中立を宣言する。ウクライナの同盟加盟を禁止する決定は、NATO首脳会議で承認されなければならない。

②ウクライナは2030年までにEUに加盟する。EUは同国の戦後復興を約束する。

③ウクライナは軍の規模を縮小しない。米国はウクライナ軍の近代化のために継続的な支援を約束する。

④ウクライナは、軍事的・外交的な占領地返還の試みを拒否する。しかし、占領地に対するロシア連邦の主権を公式には認めない。

⑤対ロ制裁の一部は、和平合意締結後直ちに解除される。一部は、ロシアが協定の条件を遵守するかどうかに応じて、3年以内に解除される。EUに対するロシアのエネルギー輸入制限はすべて解除される。しかし、一定期間、欧州諸国が課す特別関税の対象となり、その収益はウクライナの復興に充てられる。

⑥ロシア語の擁護とロシアとの平和共存を主張する政党は、ウクライナの選挙に参加できるようにすべきである。ウクライナ正教会とロシア語に対するすべての行動は、国家レベルで停止されなければならない。

⑦敵対行為終了後の欧州平和維持部隊に関しては、とくに問題視されている。ウクライナが安全保障の保証として欧州平和維持部隊を要求している一方、ロシアは断固として反対しているという。この点については、すべての当事者間で別途協議が行われるべきとされている。

 

「100日間和平計画」が存在するかどうかはわからない。ただ、ここで紹介したような内容に近い交渉が準備されていることは間違いないだろう。

もっとも大きな問題は、戦争継続を望むウォロディミル・ゼレンスキー大統領一派の動向であり、ゼレンスキーを後ろから操っているイェルマークが「ストラナ―」の報道をすぐに消し去ろうとしたのは、戦争継続路線に逆行するとの判断からだろう。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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