The Economistの特ダネを報じないオールドメディアのアホさ加減:全面停戦、戒厳令解除、大統領選へ踏み出す腹を固めたゼレンスキー

3月31日、「現代ビジネス」用に、ウクライナ問題の新局面にかかわる拙稿を送った。おそらく2、3日先にアップロードされることになるだろう。

それにしても、日本のオールドメディアは不勉強だ。The Economistの特ダネを報道した日本語メディアは2025年3月31日午後3時40分現在、存在しない。もし私が「朝日新聞」を辞めていなければ、もう少しまともな報道ができたのにと残念に思う。

 

3月30日付のThe Economist

たったいま、講談社に送った拙稿のごく一部を紹介しておこう。

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3月30日付のThe Economistは、「政府筋によれば、ゼレンスキーは先週会議を招集し、米国側が4月下旬(イースターサンデーの4月20日はそれなりに反響をもたらすだろう)までに実施できると考えている完全停戦後の投票実施をチームに課したという」、と報じた。さらに、「最初の確認は、5月8日に期限切れとなる戒厳令延長のための議会投票の期限である5月5日に向けて、あるいは5月5日に行われるかもしれない」と指摘されている。つまり、戒厳令の解除を決め、大統領選挙プロセスを開始することを広く宣言することになる。

大統領選の正確な時期については情報筋によって異なるが、ゼレンスキーは「夏を目指しているというのが大方の見方だ」と書かれている。そのうえで、「法律では選挙運動は少なくとも60日間と定められているため、最短でも7月上旬となる」としている。ただし、選挙運動は、3カ月は続けなければならないとの情報もある。これは、選挙当局が議会に対し、戦争のさなかに有権者名簿を再作成するために必要な期間だと伝えているものだという。

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どうやら、ゼレンスキーは、戦争継続によって戒厳令をつづけ、大統領選を実施しないことで大統領職にしがみつくのではなく、大統領選を早期に実施して合法的な大統領として再選をめざす方向に転換したようなのだ。

その背後には、皮肉なことに2月28日のホワイトハウスでのトランプやヴァンスとの口論があったようだ。この醜態をみたウクライナ国民は、トランプを非難し、ゼレンスキーに強いシンパシーを感じたらしい。その証拠として、3月に入って、ゼレンスキーへの支持率が高まり、それがゼレンスキーの自信を深め、戦争継続ではなく、早期に大統領選に打って出たほうが再選につながるとの判断につながったようだ。

大統領府はThe Economistの情報を否定

ここまで書いた翌日、すなわち、3月31日になって、BBCウクライナは、大統領府がここで紹介したThe Economistの記事に虚偽の情報が含まれているとのべた、と報じた。「そのような会議(7月の選挙実施について)はなかった」、「そのような指示(選挙を組織するチームについて)もなかった」と大統領チームの関係者はのべたというのだ。

The Economistの報道は、これまで戦争継続派だったゼレンスキーの大転換を意味しているだけに、その真偽が注目される。大統領選への出馬をもくろむ候補者に知られないまま、選挙準備をしたかったゼレンスキー陣営は、The Economistの報道を否定することで、さまざまな憶測を打ち消そうとしているのかもしれない。

問題解決には、ほど遠い

しかし、「現代ビジネス」にも書いたように、「全面停戦、戒厳令解除、大統領選」というロードマップが実現したとしても、恒久的な和平実現までにはまだまだ解決すべき課題が多い。その意味で、このサイトに書かなければならない問題はまだまだたくさんある。

 

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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