米大統領選を終えて:二重下駄を履いたハリスの敗北は当然
11月4日、IWJの岩上安身とのインタビューのなかで、5日の米大統領選でドナルド・トランプが確実に大統領になると話しておいた(IWJを参照)。そんなことはわかりきっていた。それにもかかわらず、アメリカの主要マスメディアのディスインフォメーションに多くの人々がだまされてきたのではないかとにらんでいる。
私の見立て
まず、なぜ私が絶対の自信をもってトランプ当選を確信していたかというと、民主党の悪辣さに心あるアメリカ人が気づいていたと思うからである。その悪辣さは、「悪平等」というものだ。
10年くらい前、ロサンゼルス市警のBOSCHというテレビドラマにハマって、そのすべてを観たことがある。そのなかで、教えられたのは、ロサンゼルスのような民主党が絶大な場所では、市長選の民主党内の予備選がイコール市長選を意味しており、その際、圧倒的に「黒人」が有利であるという話であった。
人種差別反対やジェンダー平等を重視する民主党は、人種やジェンダー上、黒人や女性などを1ランク上に位置づけている。カマラ・ハリスの場合、黒人で女性というだけで、2ランクも上位に最初から位置づけられていることになる。
だからこそ、ジョー・バイデン大統領の副大統領としての白羽の矢が立ったというわけだ。それは、人種差別反対やジェンダー平等を重視するあまり、民主党が逆にそうした対象者を上位にランクづけるという「悪平等」を長年つづけてきた結果だ。
ハリスのように、権力のために身体を売ることも厭わない黒人女性であれば、ロサンゼルスにおいて権力の階段を駆けのぼるのは実に簡単なことであったはずだ(拙稿「米メディアも「隠したい過去」を報道開始…カマラ・ハリスの耐えられない「ヤバさ」」を参照)。
はっきり言えば、傑出した能力があるわけでも、家柄がいいわけでもない彼女がのし上がることができたのは、この民主党の「人を見ずに人種と性別を見る」、バカバカしい伝統による。バラク・オバマは黒人で、ハーバード大学卒という学歴を評価されて、民主党内で階段を駆けあがり、大統領の座を手に入れたわけだが、彼の後ろには、ユダヤ系の「シカゴマフィア」がおり、彼をバックアップしていた。彼の能力というよりも、民主党の悪平等主義が悪用された仕組みが根づいてきたことになる。
問題は、二重に下駄をはかされているハリスの能力にあった。彼女の発言を普通のアメリカ人が聞くと、おそらくほぼ全員が知能の低さに気づくだろう。私のような日本人が聞いても同じである。簡単に言えば、「よくもこんな愚かな人物が副大統領にまで昇りつめられたなあ」と思わせるほどの低能なのだ。
それにもかかわらず、バイデンが急遽、大統領選を断念したために、予備選を戦うことなくハリスは、大統領候補になった。おそらく民主党内にこうしたシナリオが最初から描かれていたのではないかと勘繰りたくなるようなかたちで、非民主的な手続きで彼女は大統領候補になったのである。あまりの無能ぶりを知っている民主党幹部があえてこうしたのではないかと思わせるほどなのだ。彼女の近くにいる人はだれでも、愚かなにもかかわらず、あるいは、悪平等のためにのし上がっただけなのに、威張り散らすハリスを嫌悪したはずだ。
11月6日付のForeign Policyの記事「なぜ彼女は敗れたのか」によれば、トランプ陣営のジェイソン・ミラーはPoliticoのインタビューに応じ、選挙戦のターニングポイントと呼ばれるポイントを指摘したという。ミラーによれば、10月8日、『ザ・ビュー』の共同司会者であるサニー・ホスティン氏が、過去4年間でバイデンと違うことをしたかとハリスに尋ねた。 「思い当たることは何もありません」とハリスはぎこちなく答え、彼女のアドバイザーを恐怖に陥れ、ネット上ではトランプ勝利主義が噴出した、と紹介されている。どうやら、彼女は正直なのか、バカなのか、あるいは、何も考えていないのか。ともかく、「二重下駄」を履いた人物らしい受け答えしかできない程度の人物なのだ。
立憲民主党の例
民主党が口では民主主義を唱えたり、あるいは、人種差別反対やジェンダー平等を主張したりしていながら、その内実は非民主的で、しかも悪平等が蔓延していることは、多くのアメリカ人が知っている。それでも、まあ、表面上、いいことを言っていると思う人々に支えられてきたと言えるだろう。しかし、ハリスの場合、黒人と女性という二重の下駄を履かされており、しかも低能であるために、この民主党のインチキさに反発を覚える人が多かったのである。
11月6日付のNYTは、「ハリス氏の支持者の大半は女性であり、一方、トランプ氏の支持者の大半は男性であった」と書いている。ただ、白人の女性は予想外にハリスを支持せず、黒人の男性もそうだった。前者にとっては、「黒人という下駄」、後者にとっては「女性という下駄」が気になったのだろうことは容易に想像がつく。
加えて、共和党が上院の過半数を制し、下院でも過半数の勢いにあることも、民主党のインチキさに気づいた者があえて民主党に投票しなかったのだろう。
これを日本にあてはめてみよう。民主党の代表選のとき、吉田晴美なる女性が何とか推薦人を集めて立候補した。これが出来レースによるインチキであったことは周知の事実だ。立憲民主党もアメリカの民主党と同じく、ジェンダー平等を主張しているようだが、ここには明らかにジェンダー不平等がある。
もちろん、男女平等からかけ離れた日本のような国において、国会議員の2割でも3割でも、強制的に女性とするという政策を採用することに、私は反対しない。しかし、代表を選ぶような場において、平然と「悪平等」を行うことには反対する。
はっきり言えば、吉田なる人物は低能であり、経験不足であり、代表に値しない。ゆえに、こんな人物に投票することを躊躇した人が少なからずいたに違いない。
気になる日本の報道
私が気になったのは、私がここで書いた程度の分析をできる「専門家」がほとんどいないという日本の惨状だ。
とくに、怒りを感じたのは、テレビで「嘘」ばかりほざいているパトリック・ハーラン(パックン)の発言である。民主党支持者の彼は、意図的に共和党を批判し、民主党を擁護しつづけた。私からみると、こういう奴らが民主党をダメにしている。彼らが反省すべきは、自分たちの言行不一致なのだ。
それは、NYTやWPにも言える。民主主義を標榜しながら、民主的手続きを経ないまま、低能ハリスを大統領候補に据えた民主党には、そもそも民主主義はない。
もちろん、トランプは「悪の権化」のような人物だ。しかし、わかりやすい「悪人」は大多数の人にとってもわかりやすい。ゆえに、私の批判対象ではない。私が心がけているのは、「善人」を気取った「悪人」である。わかりにくい「悪人」については、私のような批評家が厳しく断罪しなければならないと考えている。
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