ひどすぎる日本の政党の不勉強:投票に出向く気も失せるぜ!

私は、もちろん、自民党に投票しない。それでは、どの政党に投票するか。困り果てている。どうにも、バカな政党ばかりなのだ。

ウクライナ戦争を一刻も終わらせてほしいと願う私は、ほとんどドナルド・トランプとJ・D・ヴァンスの考えと同じだ。このペアが米大統領選で勝利する可能性が高いにもかかわらず、日本のいかなる政党も、この米共和党の正・副大統領候補の主張に耳を傾けていない。

理由は簡単だ。日本国民の大多数はまったくジョー・バイデン政権寄りの偏った見方だけに染められてしまっているからだ。岸田前政権や石破現政権がアメリカの現行政権の言いなりになるのは仕方ないことかもしれない。しかし、その主張が間違っているからこそ、トランプやヴァンスはバイデンやカマラ・ハリスとはまったく異なる見解を声高に叫んでいるのである。

「もしトラ」となって、トランプがウクライナ戦争を停戦しようとしたら、日本政府および日本国民は反対するのだろうか。

 

もっと勉強しろ! 日本共産党

私がひどく心を痛めているのは、ウクライナ戦争のような重大な安全保障上の問題について、バイデン政権寄りの、つまり、親米的な主張しか唱えない政党しか日本に存在しないという事実についてである。

たとえば、日本共産党のサイトをみると、2024年10月になって、「紛争の平和的解決へ ロシアのウクライナ侵略―――国連憲章・国際法にもとづく解決、和平交渉を」という項目がアップロードされた。その最初の記述は以下の通りである。

「ロシアによるウクライナ侵略は開始から2年半以上が経過し、戦争の終わりが見えない状態が続いています。その責任は、国連憲章を蹂躙して無法な侵略をつづけるロシアにあります。日本共産党は、ロシア軍のウクライナからの即時・全面撤退を強く求めます。」

この記述の大きな間違いは、「その責任は、国連憲章を蹂躙して無法な侵略をつづけるロシアにあります」という部分である。

ウクライナ戦争の変質については、拙著『帝国主義アメリカの野望』のなかで詳しく書いた。日本共産党は、ウクライナ戦争が「自衛戦争」から「代理戦争」に変質した事実について知らない。はっきり言えば、まったくの不勉強なのだ。

そもそも、ロシアのウクライナへの全面侵攻でさえ、それがロシアだけを悪とみなすのはおかしい。これについては、拙著『プーチン3.0』、『ウクライナ3.0』、『復讐としてのウクライナ戦争』、『ウクライナ戦争をどうみるか』において詳述した。

拙著『ウクライナ・ゲート』を上梓した2014年からずっと、日本共産党はアメリカがウクライナを民主化しようとして介入したリベラルデモクラシーについて、これを批判する姿勢をまったくとっていない。はっきり書けば、親米的なのである。

この点について、目を瞑っても、2022年5、6月以降、ウクライナ戦争を継続させてロシアの弱体化をはかろうとしたのはアメリカであり、NATO加盟国とともに、ウクライナに代理戦争をさせてきた事実くらいは、日本共産党幹部にも気づいてほしいと思う。

これは、事実認定の問題であり、出来事を真摯に誠実に見つめるだけの眼力があるかどうかにかかっている。

たとえば、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの奇襲ではじまったガザ戦争は、イスラエルの「自衛戦争」としてスタートした。しかし、いまもイスラエルが自衛戦争をしているとみなす人はいないだろう。明らかな「侵略戦争」をイスラエルはガザ地区でも、レバノンでも展開しているのだ。

つまり、戦争は変質する。ゆえに、その変質に合わせて、戦争に対する見方を柔軟に変える必要が生まれる。

 

インターネットの変質

私が、この重大事象の変質という問題にはじめて気づいたのは、インターネットの変質について考えるようになったことがきっかけだった。その結果、生まれたのが拙稿「サイバー空間と国家主権」という論文だ。私が書いてきた100本を超える論文のなかで、十指に入る秀作である。

要するに、自由なコミュニケーション手段として想定されていたインターネットがP to PからB to Bへとその利用法が広がった結果、インターネット規制の必要性が急速に高まり、インターネットそのものの性格が変質してしまったのである。

世界中の大多数はこの事実になかなか気づくことができなかった。そのために、さまざまな確執が引き起こされたが、いまやインターネットの変質は否定しがたい事実となっている。

 

日本の専門家の不勉強

この拙稿を書いたときに感じたのは、日本の「専門家」なる人々の不勉強であり、愚鈍さだった。世界の変化に疎く、本質に迫ろうとする努力がまったく足りない。

この絶望的状況がいまでもずっとつづいているように思われる。その結果、ウクライナ戦争の変質に気づかないまま、まったく愚かな見方が日本中にいまでも膾炙している。

この愚かさは日本共産党だけではない。自民党は言うにおよばず、立憲民主党も同じだ。本当に、バカばかりなのだ。

これでは、「戦前」と同じではないか。バカによるバカの再生産構造という、絶望的状況がますます深刻化しているように思えてくる。

 

それにしても、こんな状況では、投票に出向く意欲が薄れてしまう。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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