人殺し国家日本:菅は「人殺し」だ

ジョー・バイデン米大統領は今年3月、ABCテレビのインタビューで、「プーチンを人殺しと思うか」と問われ、「そう思う」と答えた。事実、プーチンは人殺しであると思われる。

拙稿「プーチンを悩ますナワリヌイ」(『潮』2021年7月号)でも、わたしはつぎのように書いておいた。

「たとえば、英国で、ロシアの元スパイのセルゲイ・スクリパリとその娘がノビチョクによって襲われ、重体に陥った事件が起きた。スクリパリはソ連軍航空・パラシュート部隊からソ連軍参謀本部総局(GRU)を経て、ロシア外務省などに勤務し、2006年にスパイ容疑で14年の自由剥奪の刑を受けたが、2010年に米国で逮捕されたスパイとの交換でロシアから去ることができた人物だ。

 プーチン大統領就任後では、アレクサンドル・リトヴィネンコが2006年11月にロンドンで殺害された事件が有名である。放射性物質ポロニウムで殺されたことから、ロシア政府の関与が濃厚だ。リトヴィネンコは一九九九年に相次いだアパート爆破事件について、FSBによるものだと主張していた人物で、彼もまたFSBの元職員だった。

 興味深いのは、アパート連続爆破事件の真相を知ろうとしたセルゲイ・ユシェンコフとユーリー・シェコチヒンという二人の下院議員もまた殺されたことである。」

 

「いい加減にしろ」菅

五輪を開催すれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が増加し、結果として死亡者が増えることは100%確実だ。にもかかわらず、菅義偉首相は五輪を開き、しかも最大1万人もの観客を入れるという。これは、意図的な「殺人」行為そのものだ。

ヨーロッパで開催された欧州サッカー選手権大会で、約1300人がCOVID-19に感染したとのニュースが流れた。1日あたり、20万人とか30万人もの人々が観戦することになる五輪が開かれれば、数千、数万の人々がCOVID-19に感染し、結果として死亡者が急増することが予測される。

こんなバカな政策をなぜ菅はとるのか。それは、菅がバカであるからだが、問題は二つある。なぜこんなバカが首相になれるのかが第一の問題だ。第二の問題は、こんなバカを諫める人がいない自民党や公明党の議員の頭の構造にある。

 

菅の独我論

菅のようなバカが首相になれた背景には、選挙で選ばれた人間が特別であるとみなす独我論がある。

独我論は、同じ共同体に内属する個としての人間に言えることが万人にもあてはまると安直に類推したうえで、そのなかで選抜に勝利したり、規律をよく守ったりできる者はそうでない者に比べて優秀であり、指導者として権威や権力をふるうことが当然であるとみなす見方を前提とした考え方だ。この独我論は、同質を前提とする者だけからなる共同体で、選抜を潜り抜け、規律を遵守する者だけがエリートとしてその同質的共同体を指導することを受けいれるべきであるとみなすまでになる。

選挙で選ばれた自分、そして首相に選任された自分に権力をふるうたしかな正当性があり、国民がそれに従うのは当然だと信じているのが菅なのだろう。ここで、もっとも典型的な独我論者と考えられるアドルフ・ヒトラーも民主的な選挙を通じて「選ばれた」人物であったことを思い出してもらいたい。

わたしが知っている複数の政治家は、投票用紙に自分の名前を書いてもらうことがいかに大変かを力説した。だからこそ、独我論に陥りやすいのである。

他方で、上級国家公務員の試験を受けて合格し、経済産業省に入った職員2人が給付金詐欺で逮捕された。彼らもまた、試験に合格したという事実から独我論に陥っていた可能性が高い。

新聞記者をしていたわたしのように、数千人に会って話を聴く仕事をしてみると、大学を卒業してから数十年もたった人がいかにバカであるかがよくわかる。人間は試験の成績でははかれないのであって、日頃の自己研鑽が大切であることは火を見るよりも明らかだ。

 

自民党の情けなさとバカな国民

例外的に菅のようなバカが首相になることは、政治の世界ではよくあることなのかもしれない。優秀な人物が首相になれるとはかぎらない。問題はバカが首相になっても、それを周りが叱咤激励して支え、ときには諫めることで立派な統治に結びつけることにある。

残念ながら、Dishonest Abeが自分の仲間を重用したように、諫言を吐いてくれる人物をあえて自分の近くに置いて自らを糺すといった政治家はほとんどいない。

菅も同じである。自分がバカであることを知っていれば、自分なりの努力をすると同時に、周囲を優れた重臣で固め、そのなかに諫言をなすだけの人物を含めておくのが統治の常道であるはずだ。しかし、本当にバカだから、そんなことさえできない。これがいまの政治家の実態なのだ。

そんな人物を首相に担いでいる自民党はまったく信用できない。何しろ人殺しを首相に据えているのだから。

もっとも、これが突きつけているのは、国民の多くがこんな自民党の党員を議員に選んでいるからという事実である。つまり、国民が愚かなのである。なぜ国民がバカかと言えば、自民党員のような連中を信じて疑わないところにある。

世襲議員の圧倒的多さこそ、日本の民主主義の後進性を表しているのだが、その背後には、国民の愚かさがある。

坂本龍馬のように、日本を洗濯したいのであれば、こうしたバカな国民そのものを変えてゆかなければならない。人殺しを首相にしている国民をまっとうに変えるのは困難だが、そろそろそうしないと殺される国民の数は増すばかりになってしまうだろう。

 

(Visited 216 times, 1 visits today)

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

このページの先頭へ