「ディスインフォメーション」をめぐって
「ディスインフォメーション」をめぐって
塩原 俊彦
しばらくの間、このサイトへのアップロードを休んできた。理由は『ディスインフォメーション』という本を上梓するために、このところ原稿を書きつづけてきたらである。ようやく400字換算、360枚ほどの原稿をなんとかまとめたので、久しぶりに雑感をアップロードしたい。
「ディスインフォメーション」はもともと、ロシア語のдезинформацияに由来している。このロシア語が英語のdisinformationに翻訳されたわけである。その意味は、「意図的で不正確な情報」ということになる。
このdisinformationを国内にも海外にも伝播させて、権力者が自らの利益になるように利用しようというのがそのねらいである。端的に言えば、ウラジミル・プーチンこそ、このdisinformationによる情報工作を国内・国外でもっとも積極的に行っている首謀者であろう。SNSを利用して、サイバー空間で安価で迅速なディスインフォメーションを伝播させることによって、自国および他国の選挙結果にも影響をおよぼせる時代になっていることを考慮すると、この問題を真正面から論じることが喫緊の課題なのである。
アメリカで問題になっている大統領選へのロシアの干渉という「ロシア・ゲート」もこのディスインフォメーションの問題であるとみなすことができる。
ところがいまの日本には、こうした世界的な潮流をよく理解したうえで、その現状および問題点を論点整理できる評論家が見当たらない。仕方ないので、わたしが自ら行ってみたという話だ。
まだ出版先が決まっていないので、これ以上はこの問題を掘り下げないが、どうか、より多くの人がこの問題に真摯に向き合う努力をしてほしい。
ウクライナ出張
2月12日から18日までウクライナのキエフに出張した。ディスインフォメーション対策のために設立されたStopFake.orgの共同創設者への取材のほか、反腐敗問題についてTransparency Internationalのウクライナ事務所の責任者へのインタビューなどを行った。1996年と2006年ころに訪問して以来、3回目の出張になる。
驚いたことと言えば、日ごろの英語やロシア語の報道をみていると、キエフではあまりロシア語による会話を耳にできないではないかと思っていたのに、実際には多くの人々がロシア語を普通に話していることであった。やや雰囲気が異なっていたのは、大学に入る際、その場の警備員が意図的にウクライナ語を話していたことだった。そのほかの場所、つまり、レストランでも商店でもロシア語で話すことが当たり前のように感じられた。
もう一つ、「へえー」と思ったのは、カードの普及である。2017年9月に、フィンランドとノルウェーに出向いていたから、現金の不使用には慣れていた。しかし、ウクライナまでこれほど簡単にカード決済ができるようになっているとは驚きだった。もちろん、現金も使えるが、クレジットカード決済がマクドナルドのようなところでも実に簡単に可能であった。
ウクライナについては、国防産業の分析もしている。本用の原稿はすでに書き上げた。夏に向けてROTOBOの機関紙でもウクライナの国防産業をめぐる論文を公表する計画だ。
2月12日から18日までウクライナのキエフに出張した。ディスインフォメーション対策のために設立されたStopFake.orgの共同創設者への取材のほか、反腐敗問題についてTransparency Internationalのウクライナ事務所の責任者へのインタビューなどを行った。1996年と2006年ころに訪問して以来、3回目の出張になる。
驚いたことと言えば、日ごろの英語やロシア語の報道をみていると、キエフではあまりロシア語による会話を耳にできないではないかと思っていたのに、実際には多くの人々がロシア語を普通に話していることであった。やや雰囲気が異なっていたのは、大学に入る際、その場の警備員が意図的にウクライナ語を話していたことだった。そのほかの場所、つまり、レストランでも商店でもロシア語で話すことが当たり前のように感じられた。
もう一つ、「へえー」と思ったのは、カードの普及である。2017年9月に、フィンランドとノルウェーに出向いていたから、現金の不使用には慣れていた。しかし、ウクライナまでこれほど簡単にカード決済ができるようになっているとは驚きだった。もちろん、現金も使えるが、クレジットカード決済がマクドナルドのようなところでも実に簡単に可能であった。
ウクライナについては、国防産業の分析もしている。本用の原稿はすでに書き上げた。夏に向けてROTOBOの機関紙でもウクライナの国防産業をめぐる論文を公表する計画だ。
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