死ぬ前に言っておきたい本音:「もっと勉強しろよ!」
いろいろと仕事があるので、しっかりした勉強ができずにいる。他方で、死ぬ前に言い残しておきたいこともある。今回は、日ごろ、感じていることを正直に書いておきたい。そろそろ68歳になるので、死が迫っていると感じるからだ。
芳野友子を交代させよ!
『現代の理論』なるものがあるらしい。ちょっとだけ掲載論文を読むと、玉石混淆という印象を受ける。最初に、比較的優れた考察と思える論文、早川行雄著「芳野友子新体制で危機に立つ連合:会長の器ではない、速やかな交代を――連合は労働運動の原点!に立ち返り再生の道を探れ」を紹介したい。
要するに、「芳野友子なる人物をトップに据えている連合に未来はない」ということが言いたいらしい。この趣旨はそのとおりであると思う。少しだけ違うのは、そもそもこんな人物を会長に据えた連合という組織自体を最初から私は軽蔑していることだ。
「たった一人の反乱」
私は、丸谷才一著「たった一人の反乱」を読んで以来、ずっと「右も左もぶっ飛ばせ」という姿勢を意識的にとっている。理由は簡単だ。私からみると、「右も左も」無知蒙昧だらけで不勉強なのだ。その結果、世界の潮流の変化を知らず、ビビッドな対応ができずにいる。
労働運動については、「論座」における連載、拙稿「ニッポン不全【2】 ニッポンの労組なんかいらない?」を公表したことがある。あえて日本の労組を怒らせる文章を書いたのだ。戦後長くつづいたイデオロギー対立に明け暮れてきた労組幹部という「石頭」は怒るだろうが、そんな連中が労組運動において依然として影響力をもちつづけていること自体がおかしいのである。なぜか。世界の現実は刻々と変化しており、そうした変化に不勉強な彼らはまったく追いつけていないからだ。日本の労組はこれまで決して機を見るに敏ではなかった。反省し、大改革しなければ、まさに「労組なんかいらない」と多くの働く人が感じることになるだろう。坂本龍馬風に言えば、「労組の洗濯」をしなければならないのだ。
不勉強な実例
紹介した『現代の理論』のサイトには、富田武著「ロシア・ウクライナ戦争:どう見るか、私たちに何ができるか」という論文が公表されている。まったく不勉強な人物の論考を読まされ、これが「真情報」であると考える人が『現代の理論』を読む人たちにたくさんいると想像すると、ぞっとする。
「2022年4月20日記」とされている論文は、2014年に起きたウクライナ危機について検討することさえしていない。あるいは、ソ連崩壊後くらいからの、ウクライナの置かれてきた状況分析もない。ましてや、拙著『ウクライナ・ゲート』や『ウクライナ2.0』を読んだ形跡すらない。
こんな不勉強な輩が偉そうなことを公表する現実こそ、いまの日本のアカデミズムの退化を象徴しているようにみえる。
『即時停戦!』を書いた人たちの不勉強
富田と同じ「グループ」に属しているとおぼしき人々は、2023年12月に社会評論社から『即時停戦! 砲弾が私たちを空きつくす前に』なる本を刊行した。私の著書の多くが社会評論社から出版されていることもあって、この本の最後には、私の本、『知られざる地政学』〈上下巻〉、『復讐としてのウクライナ戦争』、『ウクライナ3.0』、『プーチン3.0』の広告が収載されている。
私は、この本の趣旨に賛同している。だが、遺憾なことがある。それは、ウクライナ戦争そのものに対する分析や、停戦や和平交渉に関する論考がまったく不十分であることだ。要するに、不勉強な連中が心情を吐露しているだけの話なのだ。
編著者の土田修は、だれが本当にウクライナ問題に精通しているかをよく吟味したうえで、「党派性」を超えて著者を探すべきであったように思う。私からみると、同じイデオロギーの一派で、しかも不勉強な連中が吠えているようにしか思えないからだ。
私の印象を率直に書くと、「左」の連中は「党派性」が強く、平然と気に入らない連中を排除したり批判したりする。要するに、「せこい」のだ。
危機にどう対処すべきか:「憂国の士」との共闘
私は、共産党を排除する芳野友子を軽蔑している。いまは、そんなことを言っている時代ではないからだ。帝国主義アメリカに従属する「属国」日本は、早晩、戦争に巻き込まれざるをえない状況に置かれているからだ。
同じように、右に対しても左に対しても、「バカはバカ」、「もっと勉強しろ」という、私のような人物を排除しようとする「せこい」グループも軽蔑している。とくに、「左」のなかの一部の連中だ。
私自身は、「現代ビジネス」サイトにおいて公表した拙稿「誰も書かないから私が書いた~帝国主義アメリカの野望」の最後の段落でつぎのように書いた。
「率直にいうと、私は国家というものが好きではない。だが、アメリカの「属国」であるよりは、「独立国ニッポン」であってほしいと心から願っている。拙著『帝国主義アメリカの野望』は、「憂国の士」必読の一冊なのだ。尊敬するノーム・チョムスキーが「アメリカこそが「ならず者国家」だ!」と説く『すばらしきアメリカ帝国』(集英社、2008年)(原題はImperial Ambitions, 2005)とともに、より多くの読者の書架に並べてほしいと願っている。」
そう、もはや「右」とか「左」とか言っている場合ではないのだ。すでに、日本政府は情報統制に乗り出している。しかも、その情報統制を強化しようとしている。「知られざる地政学」という連載において、連載【34】「ディスインフォメーションの地政学」(上、下)と連載【35】「「自衛隊機が民間機をミサイルで撃墜した」はディスインフォメーションか」(上、下)という記事をすでに公開した。連載【42】「ディスインフォメーション規制は政治的検閲に変る」が来週あたりに公表される予定だ。
どうにも不勉強な無知蒙昧があふれているために、日本で何が起きているかさえ、大多数の者は知らない。メディア業界もまた無知蒙昧だらけである。自らが無知であることに気づいていないから、そもそも勉強をしないのだ。アカデミズムも不誠実な無知蒙昧が徒党を組むことで、その無知を隠蔽しようとしているだけだ。それだけではない。無知蒙昧でありながら、騙す側に回って、無知蒙昧を増やしているのだ。富田のように。
私は、「たった一人の反乱」をつづけるつもりだが、共闘すべきはイデオロギーを超えた誠実な人物とだけであると考えている。一人でも多くの人がもっと誠実に生きてほしいと願っているのだが、連合と同じく、「左」の側の幹部も「石頭」だらけで、不誠実そのものだ。もっとまともな若い人々に期待している。
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